冬の星座 6つの物語
吐く息が白く染まるくらいに寒くなれば冬も本番。
朝の凛とした空気は清々しいものがあります。
それは空も同じで1年で最も澄み渡り
夜空に浮かぶ星たちがきれいに輝いて見えます。
その星たちを結びつけて出来上がったのが星座です。
古くからある星座にはいくつもの物語が語り継がれています。
今回は冬の代表的な7つの星座のうち
6つの星座が持つ物語を紐解いていきましょう。
代表的な冬の7つの星座と神話
☆オリオン座冬の大三角の1つで、一際光り輝くベテルギウスと
少し右肩上がりに並んだ3つの星が目印です。↓

出典 以下すべてYahoo!きっず図鑑冬の星座
http://zukan.kids.yahoo.co.jp/astro/winter/
海神ポセイドンの息子で、美しく頑丈な肉体を持ち
優れた狩人として名を馳せていたオリオン。
クレタ島で月の女神アルテミスと出逢い
恋に落ちた二人は共に暮らすようになりましたが
その幸せは長く続きませんでした。
狩りの腕前に慢心したオリオンは
「この地上のありとあらゆる獣を全て射止めてみせる」と豪語し
神々の怒りを買ってしまうのです。
神々は1匹の大サソリを遣わしました。
オリオンはサソリの毒にやられ死んでしまいます。
オリオンの自業自得とはいえ
最愛の人を失ったアルテミスはひどく悲しみました。
そしてオリオンを天に上げ星にしました。
星座となったオリオンですが、今でもサソリを恐れていて
大サソリ(さそり座)が目覚めて空に昇る頃になると
そそくさと逃げるように大地に沈んでいくのです。
☆うさぎ座
オリオン座の足元にちょこんといます。
あまり明るくない星の集まりではありますが
見つけやすい星座です。↓

うさぎはオリオンが最も好んだ獲物でした。
いつでも狩りができるように、とこの位置で星にされたのでしょう。
なんという不運。
うさぎにとっては迷惑極まりない話です。
☆大犬座
冬の大三角の1つ、シリウスが口元で輝いています。
シリウスは星の中で最も明るく輝く星ですから見つけやすいですね。↓

オリオンが狩りに出かける時に連れていた猟犬が星になった姿です。
オリオンとの狩りが楽しかったのでしょうか
自ら星座にしてほしいと頼んだとも言われています。
そんな彼(?)が見つめる先にはうさぎ座があります。
星になっても狩りを楽しんでいるのでしょう。
☆子犬座
冬の大三角の1つ、プロキオンを胸元に輝かせている星座です。
なんと子犬座を構成する星は
プロキオンとゴメイサという星の2つしかありません。↓

アクタイオンという狩人が猟犬メランポスを連れて狩りをしている時に
ある泉の傍を通りかかりました。
その泉では美しい女性が水浴びをしていたのですが
アクタイオンはついついその様子を覗き見てしまったのです。
その女性というのが月の女神アルテミスでした。
アルテミスは不埒なアクタイオンに「覗き、ダメ。ゼッタイ」と怒り
鹿の姿に変えてしまいます。
猟犬のメランポスにしてみれば、いきなり目の前に獲物が現れたのですから
当然のごとく襲いかかります。
それが自分の主人であるとは知る由もありません。
主人を殺してしまったメランポスを哀れに思ったアルテミスは
天に上げ、星にしたと言われています。
☆一角獣座
冬の大三角の真ん中、天の川の中でオリオン座に顔を向けています。
場所は簡単ですが、構成する星が4等星以下なので、街中で見かけるのは至難の業です。
一角獣、つまりユニコーンは伝説の空想動物で
なかなか見つからない、そもそも心の清らかな人にしか見えない
とまで言われるほど神秘的な動物ですから
イメージとしてピッタリですね。↓

比較的新しい星座なので
ギリシャ神話にもローマ神話にも結び付けられるものがないという
珍しい星座です。
☆牡牛座
秋には東の空にひょっこりと現れているちょっとあわてんぼうの冬の星座です。
立派な角を突き出し、今にも突進しようかという牡牛の姿になっていて
一際明るい1等星のアルデバランが右目になっています。↓

牡牛の姿をしていますが、実は川の神の娘、イオという女神でした。
イオは全知全能の神ゼウスに愛されますが
嫉妬深いゼウスの妻ヘラは二人の関係を快く思いませんでした。
全知全能で世界を支配するゼウスですら女の嫉妬は怖かったのか
なんとかして妻の怒りを鎮めようとしました。
そこでひらめいたのが、イオを頑強な牡牛の姿に変えてしまうことだったのです。
このような経緯がある星座のため、星占いでは牡牛座は女性星座に属しているのです。
☆ふたご座
子犬座のプロキオンよりも上の位置で輝いています。
カストルとボルックスという比較的明るい星が、彼ら双子の頭です。↓

スパルタ王妃のレダは、それはそれは美しい女性でした。
そのレダの許に鷲に追われた白鳥が逃げ込んできました。
哀れに思ったレダはその白鳥を抱き寄せました。
実はこの白鳥、レダに近寄るためにゼウスが変身した姿でした。
そしてレダは2つの卵を産みました。
そのうち1つから産まれたのが双子の男の子カストルとポリュデウケスで
もう1つから生まれたのが双子の女の子ヘレネとクリュタイメストラです。
兄カストルは人として生まれ、弟ポリュデウケスは神として生まれました。
本当に仲の良い兄弟で、カストルは武術の
ポリュデウケスは乗馬とボクシングの名手となり
数々の戦いで手柄を立てました。
しかしある時、カストルが矢を受けて死んでしまいました。
悲しみに暮れたポリュデウケスは父ゼウスに懇願します。
「自分の不死身をカストルと分け合い、カストルと共に死ねるようにしてほしい」と。
深い兄弟愛に感銘を受けたゼウスは、2人とも1年の半分を神として天上で過ごし
残りの半分を人として地上で暮らせるようにしたのでした。
今回ご紹介できなかった他の星座たちにも、それぞれの物語があります。
今まではただの星だった彼らも
物語を知ってから眺めてみると違った印象で見えるかもしれませんね!