御用納めと仕事納めの違いは?
年末が近づくと気になるのは、年末年始の休日の期間。
毎年これに合わせて旅行の計画を立てたり
実家に帰省しようと考える人もいるでしょう。
その基準となるのが、一年の仕事の終わりを告げる「御用納め」です。
けれど、最近のニュースなどでは「御用納め」よりも
「仕事納め」という言い方が増えているようです。
この二つの言葉にはどのような違いがあるのか、ご紹介します。
御用納めとは
「御用納め」とは、各官公庁でその年の執務を終了する日のことをいいます。通常は12月28日で、その日が土曜日や日曜日にあたる場合は、前倒しになります。
これは、元をたどると明治6年に制定された「休暇日ノ件」と呼ばれる
官吏の休暇日を定めた太政官布告第2号「休暇日を定ム」の法律によります。
法律の文を引用すると
「自今休暇左ノ通被定候事
一月一日ヨリ三日迄
六月二十八日ヨリ三十日迄
十二月二十九日ヨリ三十一日迄」とあります。
また、現在でも国家公務員、地方公務員ともに、
職員の服務に関する法律または条例」により
年末年始の休日が規定されています。
国家公務員の場合を引用すると
「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律
第十四条
職員は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日
(以下『祝日法による休日』という。)には、特に勤務することを命ぜられる者を除き
正規の勤務時間においても勤務することを要しない。
十二月二十九日から翌年の一月三日までの日
(祝日法による休日を除く。以下『年末年始の休日』という。)についても、同様とする。」
とあります。
これにより、年末年始の休日は基本的に12月29日~1月3日までとなり
それ故に御用納めは12月28日になるのです。
また、「御用」とは本来朝廷、幕府などの公用の意味であり
一般企業とは分けて考えられていました。
そこで生まれた言葉が「仕事納め」です。

仕事納めとは
一般企業の場合、日にちで休日を定める法律はありません。けれど、銀行など業務の関係でずらさざるをえない場合を除いて
ほとんどの企業は官公庁と合わせて12月28日を業務の終了日と定めています。
その日を官公庁の「御用納め」に対して、「仕事納め」と呼ぶのです。
ニュースなどの放送業界では、1960年代中頃までは官民の区別なく
年末の終業日のことは「御用納め」と呼んでいました。
けれど、もともと朝廷や幕府の仕事のことを示す言葉なので
視聴者からは「大仰すぎて古く堅苦しい」という意見が出ていました。
官庁用語をより親しみやすいものにしてほしいという要望に合わせ
今では報道でも「仕事納め」を主に使用しています。
また、実際の官公庁の現場でもそれに合わせて
「仕事納め」を使うことが増えているようです。
仕事納めにやること
仕事納めの日も、業務内容などは通常と変わらないという企業がほとんどです。けれど、なかには仕事終わりに忘年会を企画したり
来年の健康を祈願して皆で蕎麦を食べる習慣がある会社もあるようです。

また、証券取引所では仕事納めの日に「大納会」を行います。
かつては官公庁と同じく12月28日に行っていましたが
証券市場の完全週休二日制が導入されてからは12月30日に変更されました。
2002年以降、大納会ではその年話題になったキーパーソンをゲストに招き
立会終了の鐘を鳴らすのが定例となっています。
また、来場者にはその場で打たれた生蕎麦が振る舞われます。
一方、仕事納めの日は家庭にも関係があります。
年始の準備として、正月飾りの準備は12月26日~28日の間
もしくは遅くとも30日までに飾るものとされています。
特に28日は末広がりで縁起が良いので、準備にはちょうどよいとされています。
逆に、29日は「二重苦」「苦立て」「苦松(苦が待つ)」に通じるため
避けるのが通例です。
このような風習を念頭に
仕事も家庭の用意も余裕をもって年始への準備をしましょう。